――生まれは戦乱の中。けれど、それを後悔したことはない。でなければ彼女に出逢う時が遅れていたろうから。きっと必ず巡り会う。そうでなくても探し出す。解っていても代えがたい。生まれた時から傍に居る、その歓びとは何物も。
産み落とされた彼女の傍、その眼が開くのを待っていた。我が眼も未だ開かぬ内から。その瞬間は眩しくて、思わず瞼を瞑ってしまったけれど。燃えるような赤とも見紛う、深いサファイアの青が自分を覗くのを、確かに私は感じていた。
ほっそりとした、黒い毛並みのシャム仔猫。甘えた声で誰かを呼んで。傍にいる私に気がついて、
「あなたは、だぁれ?」
と、訊かれた時から答えは決まっていた。
「永遠に、貴女の傍に居る者よ」
と。だからこそ、――女に生まれたこの身すら誇らしい。たとえあの子を腕に抱くことが出来なくても。あの子と私が別々の相手と番っても。この繋がりは、他の何人も断つことが出来ないのだから。
……そう、生まれた時から知っていた。信じていた。確信していた。それが私の運命だと。
【続く】