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2009 *06 01 トキメキ 〔32〕

 嵐兄弟の母親といえば、それは洩れなく藤神祐子だ。顎人と彼女とは知らぬ仲ではない。
 藤神が禁じていると言うからには、故あってのこと。

21:20 | SS | 稲葉

2009 *05 31 トキメキ 〔31〕

「あの分だときっと、『世界樹の庭』の方に向かったんだと思いますよ」
「あっ、……」
 すぐバラしたんじゃつまらねぇだろとボヤく青嵐を後目に、思わず顎人はホッと安堵の息を吐く。
 『世界樹の庭』とは、

21:15 | SS | 稲葉

2009 *05 30 トキメキ 〔30〕

 前回は、力を喪いかけた山神の結界に引き摺り込まれ、強引に犯されかけていた。その前は質の悪い怨霊共の吹き溜まりに足を突っ込み、あわや輪姦の憂き目を見るところだった。
 それで懲りれば良いものを、

21:13 | SS | 稲葉

2009 *05 29 トキメキ 〔29〕

 空は既に、満天の星が宵闇を埋め尽くそうとしていた。さやけき月明かりが降り注ぐ星空の下を、漆黒の毛並み波打たせながら滑空していた顎人は、その実、焦っていた。
 閨での些細な諍いで、妻が庵を飛び出す。

21:09 | SS | 稲葉

2009 *05 28 トキメキ 〔28〕

 キラン、と白い尾を曳き星になったのは、この家の主ではなく妻の方だろう。『計都(けいと)』と異名をとる流れ星、その具象たる天狗(てんこう)の姿を持つ一成だ。その気になれば百万由旬も刹那で越える。
 音速の彼方で飛び去った後ろ姿を一同が見送った後、遅ればせ離れから飛び出して来たのは、
「待てコラ、一成ッ!」

09:27 | SS | 稲葉