一合、二合と切り結ぶ、剣戟の音が響き渡る。豪毅の気塊が捉えたと想った皓子は残像。先に雷光に似せた火球を放った時点で、
18:34 | SS | 稲葉
ここまでほぼ、皓子は剣のみで勝ち抜いてきた。それは守備隊相手に術は使わぬと決めていたからではなく、ただ単に使う必要がなかったからだろう。 しかし、あの藤神を母に持ち、
18:33 | SS | 稲葉
――2戦目は、最初から双方ともに仕掛け合う激戦となった。 重心変わった足元狙い、
18:31 | SS | 稲葉
逆巻く長髪の下から顔を上げたのは、百合と見紛う美貌の女性ではなく、触れなば切れんと想わせる白皙の美丈夫であった。 身に纏っていた錘を脱ぎ捨てたように
18:30 | SS | 稲葉
カン…、と乾いた音がして宙に舞ったのは、しかし皓子の剣だった。天高く躍った刃は、弧を描いて回転しながら落下し、石畳の上に切っ先を下にして突き刺さる。 信じられぬ、
18:29 | SS | 稲葉
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