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2009 *09 17 彼氏彼女の事情〔17〕

 衝突の瞬間、爆ぜた気炎の破片のように、二人の周囲に激しい火花が散り、細かな紫電が舞った。交錯により削がれた欠片にしか過ぎないそれらですら、石畳の表面を砕き、練兵場の外壁を抉る。打ち合わされる神速の手は、既に守備隊の下級兵レベルの者の眼には追いきれなくなっていた。
 斬り、裂き、打ち、砕く。

08:28 | SS | 稲葉