「――帰ろう、傲嵐…」
差し伸べられた手を受け、祐子の腰を抱き寄せた傲嵐は、その柔らかな肌と頬ずりを交わした後、
「あぁ、…」
スルリと人身を解いて獣態に戻った。
彼女を抱き締めるように身をくねらせ、
「――帰ろう、傲嵐…」
差し伸べられた手を受け、祐子の腰を抱き寄せた傲嵐は、その柔らかな肌と頬ずりを交わした後、
「あぁ、…」
スルリと人身を解いて獣態に戻った。
彼女を抱き締めるように身をくねらせ、
と、その時、内殿に続く回廊を、足音もなく歩み来る気配が立った。後に曳く影の形は闇に溶け、限りなく人外に見える男の名は、騰蛇。藤神祐子が従える、もうひとつの式神にして愛人であった。
「主、……」
「おーおー、若いっていいねー」
などと宣いつつ、己も同じ程度には若いだろうという外見をした彼の名は藤神真人。少し癖のある跳ねっ毛を後ろで束ね、隆たる筋肉を惜しげもなく曝す忍者風装束で欄干に座す彼は、こう見えてアマテラス直属の護衛、兼、暗殺者だ。
そも暗殺という陰湿な遣り口を好まない
『葉月、来られるか?』
由良からの唐突な心話を葉月が受けたのは、すでに本日の業務を開始した陽宮でのことだった。
ツクヨミに『月の宮』があるように