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2009 *05 07 トキメキ 〔7〕

「――帰ろう、傲嵐…」
 差し伸べられた手を受け、祐子の腰を抱き寄せた傲嵐は、その柔らかな肌と頬ずりを交わした後、
「あぁ、…」
 スルリと人身を解いて獣態に戻った。
 彼女を抱き締めるように身をくねらせ、

00:20 | SS | 稲葉

2009 *05 06 トキメキ 〔6〕

 空気震わす音叉の韻にも似た気配の後、響いて来たのは真人の雇い主・葉月の声であった。
『……真人?』

14:23 | SS | 稲葉

2009 *05 05 トキメキ 〔5〕

 と、その時、内殿に続く回廊を、足音もなく歩み来る気配が立った。後に曳く影の形は闇に溶け、限りなく人外に見える男の名は、騰蛇。藤神祐子が従える、もうひとつの式神にして愛人であった。
「主、……」

11:05 | SS | 稲葉

2009 *05 04 トキメキ 〔4〕

「おーおー、若いっていいねー」
 などと宣いつつ、己も同じ程度には若いだろうという外見をした彼の名は藤神真人。少し癖のある跳ねっ毛を後ろで束ね、隆たる筋肉を惜しげもなく曝す忍者風装束で欄干に座す彼は、こう見えてアマテラス直属の護衛、兼、暗殺者だ。
 そも暗殺という陰湿な遣り口を好まない

14:26 | SS | 稲葉

2009 *05 02 トキメキ 〔2〕

『葉月、来られるか?』
 由良からの唐突な心話を葉月が受けたのは、すでに本日の業務を開始した陽宮でのことだった。
ツクヨミに『月の宮』があるように

14:37 | SS | 稲葉