衝突の瞬間、爆ぜた気炎の破片のように、二人の周囲に激しい火花が散り、細かな紫電が舞った。交錯により削がれた欠片にしか過ぎないそれらですら、石畳の表面を砕き、練兵場の外壁を抉る。打ち合わされる神速の手は、既に守備隊の下級兵レベルの者の眼には追いきれなくなっていた。
斬り、裂き、打ち、砕く。
衝突の瞬間、爆ぜた気炎の破片のように、二人の周囲に激しい火花が散り、細かな紫電が舞った。交錯により削がれた欠片にしか過ぎないそれらですら、石畳の表面を砕き、練兵場の外壁を抉る。打ち合わされる神速の手は、既に守備隊の下級兵レベルの者の眼には追いきれなくなっていた。
斬り、裂き、打ち、砕く。
豪毅が振り解いた水縄は、細かな水滴となったあと霧散し、残らず干上がっていく。仄白く漂う蒸気の下から身を起こした豪毅は、着衣にまで気を遣う余裕がなかったのだろう、腰周りにかろうじて破れ残しの布地を纏うばかりの全裸姿で人型に戻っていた。
しかし、そんな彼の姿から顔を背ける者はいない。
危惧していた仕掛けは、すぐに発動した。豪毅の周りに纏わりつく光球を焦点に、彼が踏む足下の石畳を剥がす勢いで銀竹が突き出して来る。たちまち脆くなる足下にも、しかし歩みを掬われることなく豪毅は、皓子の跳ねるすぐ後を駆け抜けて行った。
目標を捉え損ねた銀竹は、
皓子の詠唱が終わる前に、なんとしてもその咒を止める。そう意図して踏み込んだ豪毅の放つ斬撃は、しかし虚しく空を切った。半眼を閉じ、完全にトランス状態にあると思われた皓子は、そのままの姿で軽やかに後退し、豪毅の刃を避けて尚も詠唱を続ける。
恐らく豪毅に悟られた時点で、既に