常に注意をしていた。周囲に隙を見せぬよう、気を配ってもいた。しかし、まだ久鷹は圧倒的に若かった。そんな張り詰め方をしていては早晩、訪れるであろう自分の限界にまでは、考え至っていなかった。緊張をし続けていれば、当然に疲れる。その生理的に訪れる、やむを得ぬ気の緩み。そこを狙われたのである。 また、もう一つ。
19:25 | SS | 稲葉