と、その時、内殿に続く回廊を、足音もなく歩み来る気配が立った。後に曳く影の形は闇に溶け、限りなく人外に見える男の名は、騰蛇。藤神祐子が従える、もうひとつの式神にして愛人であった。「主、……」
11:05 | SS | 稲葉
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