空は既に、満天の星が宵闇を埋め尽くそうとしていた。さやけき月明かりが降り注ぐ星空の下を、漆黒の毛並み波打たせながら滑空していた顎人は、その実、焦っていた。 閨での些細な諍いで、妻が庵を飛び出す。
21:09 | SS | 稲葉
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