「真人、――…」
聞く者の抗いを許さぬ魅惑の声で、藤神は我が甥、兼、養子、兼、愛人を呼びつけた。
「……あいよ。」
虚空から音もなく立ち現れたのは、狼身の夫・傲嵐を傍らに従えた、この家の主・藤神祐子。
死神としての戦装束も解かぬままということは臨戦態勢バッチリ、
そしてもうひとつ、双緋には決して采藍と共に戦場に立てぬ理由があった。――それは彼らが、魂を分けた双子であるからだ。
一族の内には他にも双子や三つ子、
「――帰ろう、傲嵐…」
差し伸べられた手を受け、祐子の腰を抱き寄せた傲嵐は、その柔らかな肌と頬ずりを交わした後、
「あぁ、…」
スルリと人身を解いて獣態に戻った。
彼女を抱き締めるように身をくねらせ、