遠く、細く砦内に流れる歌声に眠り乱されたか、寝台の上に横たわる影が、ふっ…と眼を開いた。砦の南翼、その最奥。幾重もの結界、あるいは次元断層によって隔てられ、特に許された者でなくば近寄ることも出来ぬ奥津城。影砦が主人の居室は、そんな場所に在った。
――外から入るは難くとも、
遠く、細く砦内に流れる歌声に眠り乱されたか、寝台の上に横たわる影が、ふっ…と眼を開いた。砦の南翼、その最奥。幾重もの結界、あるいは次元断層によって隔てられ、特に許された者でなくば近寄ることも出来ぬ奥津城。影砦が主人の居室は、そんな場所に在った。
――外から入るは難くとも、