……勝算は、ないでもない。
父と同じく両の腕から出る刃で
目覚めると、そこは既に宴の席上だった。いや、久鷹の立場からすれば俎上と言うべきか。
下士官用の食堂とおぼしき空間に
常に注意をしていた。周囲に隙を見せぬよう、気を配ってもいた。しかし、まだ久鷹は圧倒的に若かった。そんな張り詰め方をしていては早晩、訪れるであろう自分の限界にまでは、考え至っていなかった。緊張をし続けていれば、当然に疲れる。その生理的に訪れる、やむを得ぬ気の緩み。そこを狙われたのである。
また、もう一つ。
そして今、既に死んだとされる雷閃は闇の城になく、一成に良く似た久鷹が新たに現れた。
彼の両親は軍の総司令と、その副官
例によって最下層、しかも最も質の悪い類の連中が屯す界隈で、祝わしからざる宴が繰り広げられようとしていた。
獲物は極上とあって、いつになく