ここまでほぼ、皓子は剣のみで勝ち抜いてきた。それは守備隊相手に術は使わぬと決めていたからではなく、ただ単に使う必要がなかったからだろう。
しかし、あの藤神を母に持ち、
ここまでほぼ、皓子は剣のみで勝ち抜いてきた。それは守備隊相手に術は使わぬと決めていたからではなく、ただ単に使う必要がなかったからだろう。
しかし、あの藤神を母に持ち、
逆巻く長髪の下から顔を上げたのは、百合と見紛う美貌の女性ではなく、触れなば切れんと想わせる白皙の美丈夫であった。
身に纏っていた錘を脱ぎ捨てたように
カン…、と乾いた音がして宙に舞ったのは、しかし皓子の剣だった。天高く躍った刃は、弧を描いて回転しながら落下し、石畳の上に切っ先を下にして突き刺さる。
信じられぬ、